ロボット教材やロボット学習キットなどをご存知でしょうか。
現在「mBot」や「KOOV」と呼ばれているものが発売されています。
両製品ともSTEM教育に対応することが目的で開発されましたが、上達度合いによってその方向性は大きく異なります。
今回は「mBot」と「KOOV」の特徴、比較、ユーザーの口コミ、メリット、作品例などについてご紹介します。
mBot(エムボット)とは?
mBotは中国深センに本社を置く「Makeblock(メイクブロック)社」が開発したSTEM教育向けのロボット教材のことです。
STEM(ステム)教育とはScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字から造られた言葉のことです。
子供のうちからSTEMに身近に触れることで、自分から学び考える力を養うことを目的にしています。
Makeblock社はSTEM教育、DIYロボティックスに関するプラットフォームであり、ロボティックススタートアップ企業です。
子供たちはmBotに触れ、各パーツを組み立てながらDIYロボティックス、電子工学、プログラミングを楽しみながら学習することができます。
mBotを一言でいうと「子供たちがロボット作りという遊びを通して自然な形でプログラミングを学習することができるロボット教材」ということがいえます。
KOOV(クーブ)とは?
KOOVは日本のソニー・グローバルエデュケーション(SGED)が提供するロボット・プログラミング学習キットのことです。
SGEDはテクノロジーを利用した教育分野のイノベーションを促進させるために2015年4月に設立されたグローバル教育に力を入れている企業です。
KOOVのコンセプトは次の「Play」「Code」「Create」の3つからなります。
KOOVを一言でいうと「子供たちが自由に遊びながらロボットを作り、プログラミングを学び、その中でこれまでにない創造力を育てていってくれることを願って開発されたロボット学習キット」とのことです。
またKOOVは学校教材を扱うアーテック社と共同で開発された製品でもあります。
mBotとKOOV(クーブ)の比較
こちらではmBotとKOOVの対象年齢・学年、価格、対応端末についてご紹介します。
mBotとKOOVの対象年齢・学年、価格、対応端末の比較表
mBot | KOOV | |
対象年齢・学年 | ①エントリーモデルのmBotは8歳以上 ②上位モデルのmBot Rangerは12歳以上 ③最上位モデルのUltimate2.0は15歳以上 |
KOOVの対象年齢は8歳以上です。 |
価格 | ①「mBot V1.1-Blue Bluetooth version FOM 公式書籍・サポートセット」が通常価格15,552 円(税込) ②「mBot V1.1-Blue 2.4G WiFi versionFOM 公式書籍・サポートセット」が販売価格18,252 円(税込) ③「mBot Ranger」が通常価格27,000 円(税込) ③「Ultimate 2.0 10-in-1 Robot Kit」が通常価格54,000 円(税込) ※価格は「makeblock」の日本国内正規代理店「J-Robo」の価格を参考にさせていただきました。 |
①KOOVのアドバンスキット(EKV-200A)が希望小売価格 49,880 円+税 ②KOOVの スターターキット(EKV-120S)が希望小売価格 36,880 円+税 ③KOOV拡張パーツセット(EKV-080E)が希望小売価格21,880円+税 ※価格は「KOOV」の公式ページから参考にさせていただきました。 ※ 拡張パーツセットだけでは利用できません。 |
対応端末 | mBotの対応端末はBluetooth仕様であれば、スマホ、タブレット、PCで操作することが可能です。
2.4G無線(Wi-Fi)仕様のmBotであればPCと直接接続して操作することが可能です。 またMakeblock社からはPC、タブレットにはWindows、Mac 用のソフトウェア、スマホ、タブレットにはAndorid、iOS用のアプリがそれぞれ無料で提供されています。 |
KOOVの対応端末はWindowsOS、macOS、Chrome OSが搭載されたPC、タブレットが対応しています。
Windowsの場合はWindows7、Windows8.1、Windows10の64bit版は対応しています。32bit版では動作しないこともあります。 macOSの場合は10.12以降が対応しています。 Chromebookの場合はChrome OS の64bit版が対応しています。32bit版では動作しないことがあります。 AndroidOS、iOS搭載の端末には対応していません。よってKOOVはスマホには対応していません。 ※こちらはKOOVの公式ヘルプセンターを参考にさせていただきました。 |
mBotとKOOV(クーブ)のそれぞれの口コミ
こちらではmBotとKOOVに関するTwitterでの口コミをご紹介します。
mBotの口コミ
ゲームプログラミング#makeblock #mbot
こんなのがあるのか!
アプリでプログラミングするらしい pic.twitter.com/8l8dYWVBMc— マキ (@148Mkwd) April 30, 2019
#Makeblock の教育用シングルボードコンピューター #Halocode と、プログラマブルロボット #mBot を連携させてみました。
Halocodeに内蔵しているモーションセンサーを使って、Halocodeの傾きとmBotの動きを連動させています。詳細レビューはこちら↓https://t.co/fis7QaJL9q pic.twitter.com/ctiFMqTlxZ
— おぎ@ (@gisu271806) March 18, 2019
真っ白なピンポン玉を弊社3Dモデラーに「サッカーボールにできますか?」と渡したら、ちゃんとサッカーボールになった!嬉しい!
Unityみたいにテクスチャ貼れれば大量生産できるのに。。。#mbot pic.twitter.com/9XHpVuPSz6
— マイスター・ギルド 【広報】 (@meisterguild) March 14, 2019
https://twitter.com/nachi_mo_on/status/1094147623982751745
二輪走行ロボット「mBot」を使った息子操作リハビリのその後。
もう食い付きが半端ない!!
ジョイスティックを倒したら、動くという理解まで繋がった様子!楽しく継続する事が、成長につながる!!
しかし…おしりの存在感(笑)#mBot #家族のためのモノづくり pic.twitter.com/lK9FSFW7mx
— おぎモトキ @ 父親エンジニア / OGIMOテック開発室 (@ogimotoki) December 22, 2018
KOOV(クーブ)の口コミ
サーボで蝶々を表現しました🦋#KOOV #ロボット #ロボット製作 pic.twitter.com/CX2I207qTo
— 髙橋ちゃん(ロボット芸人) (@pokipoki121) December 26, 2018
展示しているKoovをチェンジ!
今回はUFOです
ピカピカ光りながら不思議な動きをしていますよー#はこだてみらい館#koov#UFO pic.twitter.com/rRSHjJCuM9— はこだてみらい館 (@FC_Hakodate) 2019年5月9日
↓これは解決!https://t.co/xeeaWQkNHa
左と右の速さを変えて、調整すれば解決しますよね。何でこんなことに気がつかなったのか…お恥ずかしい😅
ちなみに、このように調整することを“キャリブレーション”と言うそうです。また1つ勉強になりました。
#KOOV
#プログラミング教育— プログっ子 (@progukko) 2018年12月21日
子供のために買ってみた。#KOOV #プログラミング学習 pic.twitter.com/jDA6IyFqIv
— りょきち (@CameraSukiR) 2019年3月22日
今日は息子の塾の保護者会。プログラミング的思考の話の中でソニーのKOOVが紹介された。マイクラが流行っていて息子もやりたがっていたけど、ミニ四駆とかロボットが好きな息子には、KOOVもいいかも?今度体験に行ってみようっと! #KOOV
— ちもぢ (@sugarkanchan) 2019年2月25日
mBotのオススメの4つのポイント
こちらではmBotのオススメの4つのポイントについてご紹介します。
組み立てが簡単
エントリーモデルのmBotには全部でパーツが38種類あります。mBotの対象年齢は8歳以上ですが、いきなり全パーツを見ると実際に完成するのかどうか心配になることでしょう。
パーツはそれぞれ「金属製フレーム」「ネジ」「モーター」「mCore」などがあり、電子基板などはどこに設置すればよいのかなど全く想像がつかないかもしれません。
ところが実際の組み立てに至っては、わずか30分~60分程度で組み立てることが可能です。
一般的には本体セットに同梱されている説明書を見ながらであれば30分ほどで組み立てることができます。
また小学校低学年でまだ文字が読めない子供であれば、スマホやタブレットにiOS用 、Android用のアプリをダウンロードすれば3D動画で立体的に組み立て方を見ることができます。
3D動画を見ながらであれば一見難しそうな組み立て方も直感的に理解することができます。子供の理解のペースに合わせて組み立てることが可能です。
頑丈な作りで子どもでも安心して触れる
mBotは完成するとまるでラジコンカーのように端末のアプリでコントロールすることが可能です。
タイヤはそれぞれモーターと接続されており、思っている以上にスピードがでます。またフロントマスクがウィリーするほど駆動輪のパワーは力強いです。
子供がコントロールするのであれば、最初のうちはガツン、ガツンと壁や障害物にぶつけることが予想されます。
ところがmBotはフレームが金属製ということもあり、かなり頑丈な造りになっています。
どれほどぶつけても全くビクともしない程強固なロボット教材なのです。
一般的に子供用はちょっとした衝撃ではずれたり壊れたりしますが、mBotに至っては全くその心配が無く子供でも安心して触れられることができます。
拡張パーツが豊富で拡張性が高い
mBotはスタンダードセットだけでも十分にDIYロボティックス、電子工学、プログラミングを遊びながら学ぶことができます。ただしそれだけではありません。
mBotは拡張することも可能です。mBotの拡張の肝は制御ボード「mCore」に用意されている4つのポートに様々なセンサー、出力パーツを接続することで拡張できます。
拡張の為の電子モジュールは100種類以上が用意されています。
一般的には初心者が拡張することは難易度が高いと思われがちです。
ところがmBotはインターフェイス(通信のルール)が統一されている為、小学生でも簡単に拡張について学ぶことができます。
mBotは子供が自分の頭で考えて応用する力を育んでくれます。
レゴとの互換性がある
mBotはmakeblockが提供する純正拡張パーツだけではなくレゴとも互換性があります。
mBotは設計の段階から構造的にねじ穴の大きさなどが市販のパーツと互換するように設計されています。レゴと組み合わせて自分好みのオリジナルのmBotを作ることが可能です。
KOOV(クーブ)のオススメの4つのポイント
こちらではKOOVのオススメの4つのポイントについてご紹介します。
子供だけじゃなく、大人も楽しめるブロック
KOOVのブロックはレゴブロックより若干大きく、立方体型の「キューブブロック」が基本形です。一つのブロックには凸部分と凹分があり連結して組み上げることが可能です。
そのブロックには白、赤、青、黄、水色、緑、オレンジなど全7色があり、また7種類の異なったデザインのブロックで構成されていることも特徴です。
ブロックのカラーリングは一般的な塗りつぶしではなく、半透明なスケルトンが採用されています。
KOOVで使われている半透明なブロックは株式会社アーテックが開発したものをベースにソニー・グローバルエデュケーション(SGED)が独自に開発したものです。
デザイン自体はアーテックが開発したブロックに似ていますが、半透明素材の採用はSGEDのオリジナルです。
また異なった7色のブロックピースが積み重なることで、オリジナル色から様々なバリエーションの色彩に広がって行く魅力もあります。
実はプログラミング抜きでも出来上がったブロックが、フィギュアやオブジェのような一つの作品として存在させることもSGEDの狙いの一つなのです。
カラフルで半透明なブロックを使うことで、KOOVではアドバンスキット全24レシピ、スターターキットで全15レシピの動物や乗り物を作ることが可能です。
中には組み立てるのにかなり複雑なものもあり、その難解さゆえに子供だけでなく逆に大人も楽しめるブロックに仕上がっています。
アプリが使いやすい作りになっているので、親子一緒に学んでいける
KOOVの魅力の一つにアプリの素晴らしさがあります。
アプリのビジュアルはどこまでもやわらかく、小さな子供でもスーッとその世界観に入っていける優しさがあります。
画面はホワイトベースのバックに、パステル調のカラーが採用されており、シンプルでわかりやすい設計です。
サウンドはコロコロ転がるようなかわいらしいメロディが聞こえてきます。
画面のセンターにプレイヤーのアバターと名前がカウントされ、それぞれのコースがブロックで並べられ選択をすることになります。
文字は大きく「ひらがな」と「カタカナ」なので、小学校低学年でも読むことができます。
一般的には子供たちは「じゆうせいさく」「がくしゅうコース」「ロボットレシピ」を経ながら既定の形のロボットを作っていきます。
プログラミング自体は簡単ではありませんが、親子でアプリを使うことで別の楽しみ方もあります。KOOVのアプリには「プレイヤー登録」機能というものがあります。最大4名までプレイヤー登録が可能です。
登録するとプレイヤーは自分好みの顔や服装にカスタマイズしたアバターを作ることができます。
実は8歳くらいの子供にとって自分のアバター(分身)を作ることは、とても新鮮な体験なのです。
そしてもう一つ子供はこれまでにない大きな体験をします。
それは親も同時にプレイヤー登録することで、親と子供はこの時上下関係のない対等な関係がKOOVのアプリ上で結ばれます。
あくまで関係は仮想上ではありますが、子供が自分が初めて一個人として認められたと思うことで、心の成長がみられ「自己」や「自立心」が育ちます。
このようにKOOVのアプリは大変使いやすく子供の成長を促してくれます。また親子で夢中になって遊ぶことで、親子とも一緒になって学んでいることに気がつきます。
電子パーツが豊富でオリジナル作品も作りやすい
KOOVはブロック、アプリも充実していますが、電子パーツも豊富で充実しています。
主力モデルであるKOOVアドバンスキットには24の電子パーツ、エントリーモデルであるKOOVスターターキットには16の電子パーツ、KOOV拡張パーツセットには8の電子パーツがそれぞれ同梱されています。
また電子パーツの種類はバッテリーボックス、モーターパーツ、センサーパーツ、表現パーツ、ケーブルなどがあり、電子パーツ搭載の自由度が非常に高いことがあげられます。
KOOVはブロックが積み重なり、電子パーツが組み込まれることで動物や乗り物の形が完成します。その後プログラミングにより、電子パーツに命令が送られ命がふきこまれます。
各電子パーツには「動き」「光」「音」などのアクションがそれぞれ搭載されています。電子パーツの組み合わせにより、豊富でオリジナル作品も作りやすくなります。
公式―ムページによるとこれまでKOOVを購入されたユーザーから、オリジナル作品のロボットが約1,000体以上公開されていると報告されています。
また今現在も続々と新たな投稿がされています。公開されることで新たな可能性が広がり、これから先も自由で創造性あふれるオリジナル作品が作られることが予想されます。
女の子にオススメできるカワイイパーツ
一般的にはロボットやプログラムというと男の子が好きそうなジャンルですが、KOOVでは女の子も楽しめる様々な工夫を随所に取り入れてあります。
スケルトンを採用したクリアブロック、ホワイトカラーを基調としたパーツ、おしゃれなデザインの収納ボックスなど、おおよそこれまでの学習教材でありがちな要素を全て排除しているかのようです。
ホワイトカラーのパーツは主役のクリアブロックの色鮮やかさをより引き立ててくれます。
各パーツとも女の子好みのかわいいデザインに仕上がっています。
あのレゴと比較してもデザイン的にも遜色がありません。
まとめ
今回はmBotとKOOVのそれぞれの特徴やどういう人にオススメなのかについてご紹介させていただきました。
mBotの特徴は初心者レベルから最上級者レベルまで用意されており、最上級者レベルになると難解で作り応えのあるロボットやプログラムができます。
またアプリにおいても対応端末が幅広く、どちらかというとグローバルな展開を希望している人におすすめです。
KOOVの特徴はロボット作りやプログラムを学びながら、親子のつながりを楽しみたい方に向いています。
また単にプログラミングの達成度合いだけでなく、KOOVをアートしてオリジナル作品を多くの人に公開したいという楽しみ方を求めている方にもおすすめです。