「子どもを頭のいい子に育てたい。プログラミングを学習すると、論理的思考が身につくって聞いたけど本当?」
「プログラミング的思考と論理的思考の違いって何?」
「そもそも論理的思考って何?」
など、「プログラミング」と「論理的思考」について、気になっていませんか?
なんとなく、「論理的思考」=「カッコイイ」イメージだけで、子どもにプログラミングを学ばせたい!という方は多いと思います。
しかし、肝心のプログラミングと論理的思考の関係性について聞かれると、答えられる方は少ないのではないでしょうか?
そこで今回は、プログラミングと論理的思考について、
- そもそも論理的思考とは何か?
- 「論理的思考」と「プログラミング的思考」の違い
- プログラミングを学ぶと、論理的思考が身につくのか?
- 論理的思考を身につけるとどうなるのか?
- プログラミングで論理的思考を身につけるためには?
など解説していきましょう。
プログラミングと論理的思考の関係について知りたい方は必見です!
論理的思考とは「理由が結論にきちんと結びついていること」
そもそも「論理的思考」とは何なのでしょう?
簡単にいえば、「理由が結論にきちんと結びついていること」をいいます。
もう少し詳しく見ると、辞書では論理的思考をこのように説明しています。
論理に基づいて考えること。あるいは、論理に基づいた考えのこと。
■出典元:「論理的思考(ろんりてきしこう)」の意味や使い方 Weblio辞書
では、この「論理」とは何なのか調べると、このようになっています。
① 思考の形式・法則。議論や思考を進める道筋・論法。
② 認識対象の間に存在する脈絡・構造。
■出典元:論理(ろんり)とは - 論理の読み方 Weblio辞書
これだとまだ分かりづらいですよね。
イメージとしては、「道筋」と「結論」に続くまでの道筋が違和感なくつながっている、「道」や「鎖」のようなものと捉えるといいでしょう。
「〇〇だから△△である」と、理由と結論がイコールになっている
さらにもう少し噛み砕いて説明すると、論理的思考とは、「〇〇だから△△である」と、「理由と結論がイコール」になっている状態をいいます。
たとえば、「空は青いのに、なぜ夕方(朝方)になると赤く染まるのですか?」と聞かれると、なんと答えますか?
答えは「夕方になると太陽光の距離が伸びるため、波長の長い赤色は人間の目に映る」です。
具体的にいうと、太陽光の中で人間の目で見ることのできる「可視光」には、色ごとに波長があります。
この波長範囲が一番長いのが「赤」の色なのですね。
夕方(朝方)になると、太陽の位置が地平線近くになりますよね?太陽光が斜めに入るため、光の進む距離が伸びます。
すると、赤以外の光の波長域(青色など)は、地表に届かなくなるので、赤の光だけが私達の目に届くようになるわけですね。
つまり、この疑問・理由・結論を論理的に簡単に説明すると、このようになります。
疑問「空は青いのに、なぜ夕方になると空が赤く染まるの?」
↓ 理由「夕方になると太陽の光の距離が伸びるため、波長の長い赤色が人間の目に映る」 ↓ 結論「だから、夕方になると空が赤く染まる」 |
どうでしょう?疑問・理由・結論までがきちんと結びついているのではないでしょうか?
さて、こういった論理的思考にはコツがあるのでしょうか?
論理的思考のコツは「因数分解」すること
論理的思考のコツは、ズバリ「因数分解」です。
因数分解といっても、数学で使う因数分解ではありません。
論理的思考における因数分解とは、「分解・具体化・原因・理由・そもそも論・問い」で考えます。
具体的には、こういった方法ですね。
- 大きいものを小さく分解する
- 曖昧なものをより具体化する
- 結果が生まれた原因・理由を考える
- そもそも論で考える
- とにかく問いを投げ続ける
■出典元:「沈黙のWebライティング」より
この考え方が身につくと、抽象的で分かりづらい事象も分かりやすくできますし、「なぜ」と「答え」が結びついているため、相手に整然とした印象を与えます。
このあたりの因数分解の考え方は、訓練次第ですね。
さらに、この論理的思考が身につくと、学校でも仕事でも、物事を考えるときの基盤になります。
論理的思考が身につくメリットはまた後述しますが、たとえば「トラブル回避になる」「相手の立場に立って物事を考えられる」などがあります。
論理的思考が注目される理由は、「2020年のプログラミング教育必修化」がある
ところで、こういった論理的思考が注目されるようになった背景には、やはり「2020年のプログラミング教育必修化」があります。
というのも、近い将来、日本のIT人材の不足が懸念されているからですね。
しかし、人材不足の大きな原因には、かつて技術大国といわれた日本の衰退があります。
たとえば、日本の科学技術分野の論文数は2002年ごろから減り始めており、その質すらも低下しているといわれています。
日本の苦しい状況を打破するためにも、子ども達に考え方の基盤となる論理的思考を身につけさせ、学校や企業、国全体の教育の底上げに繋げる目的があるのですね。
こんな論理的思考に対して、近年「プログラミング的思考」もよく耳にするのではないでしょうか?
そもそも両者の違いは何なのでしょう?
つづいては、そんなプログラミング的思考について解説していきましょう。
「論理的思考」と「プログラミング的思考」の違いとは?
「プログラミング的思考=プログラミング(コーディング)ができるようになる思考」と思われがちですが、厳密に言うとそれは違います。
まず、論理的思考の枠組みの中に、プログラミング的思考があるため、考え方の根底は同じです。
ちなみに、実践としてプログラミング(コーディング)が組めれば、職業の幅も広がりますし、「目的の一つとして」コーディングを学ぶ意味は十分あるでしょう。
しかし、プログラミング的思考とは、コーディングうんぬんではなく、論理的思考と同様、物事を考えるときのもっと基盤的な部分を指します。
詳しく見ていきましょう。
プログラミング的思考とは「様々な要素、選択肢の中から考えて選び取り、相応しい手順を考える力」
文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引き」によると、プログラミング的思考の定義はこのように書かれています。
「プログラミング的思考」とは、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」
「プログラミング的思考」は、プログラミングに携わる職業を 目指す子供たちだけではなく、どのような進路を選択しどのような職業に就くとして も、これからの時代において共通に求められる力
■出典元:小学校プログラミング教育の手引(第二版)| 文部科学省
なかなか難しそうな定義ですね。
この文部科学省の定義で注目したいのは、「どのような動きの組合せが必要」「どのように組み合わせたらいいのか」「より意図した活動に近づくのか」の部分です。
つまり、もう少し噛み砕いていうと、プログラミング的思考とは、「様々な要素、選択肢の中から考えて選び取り、相応しい手順を考える力」だといえるのですね。
この点を踏まえて、プログラミング的思考と論理的思考の違いとは何なのでしょう?
プログラミング的思考と論理的思考の違いは「相応しい手順まで考慮されているか?」
プログラミング的思考と論理的思考の違いは、「相応しい手順まで考慮されているか?」という点です。
たとえば、プログラミングを組むとき、「コンピューターが理解できるためには、ここでこういう指示を出して…」と、目的に向かってプログラミング言語で正しい手順で伝えますよね?
まさに、自分の意図に対して、相応しい手順を考えています。
論理的思考は、「理由と結論をつなぐ道筋のようなもの」とお伝えしました。
対して、プログラミング的思考とは、「組み合わせ」や「改善」「意図した」といった言葉で肉付けされているように、論理的思考がより、具体的かつ建設的になった考え方だといえるでしょう。
プログラミング的思考を身近な言い方にすると「段取り力」
ちなみに、プログラミング的思考を身近な言い方にすると、「段取り力」です。
段取り力とは、「先にすべきことや物事の道順が分かっており、効率よくこなせる力」のことをいいます。
よく、料理をパパっと作れる人は、「段取り力が高い」と表現しませんか?
プログラミング的思考は、決して遠い存在ではなく、料理など日常生活の中にも存在しているのですね。
ところで、「そもそもプログラミングを学んで、論理的思考は身につくの?」「なんでやたらと、プログラミングと論理的思考を結び付けたがるの?」と、思われている方も多いでしょう。
次章では、そんな「プログラミングを学ぶことで論理的思考が身につくのか?」について解説します。
プログラミングを学ぶことで論理的思考は身につく可能性が高い
結論からいえば、「プログラミングを学ぶことで論理的思考は身につく可能性が高い」です。
その根拠として、「論理的な文章作成力とプログラミング力との関係の分析」という研究報告があります。
この研究では、こういったことが行われました。
- 大学1年次にプログラミング教科を受講した、大学生86名の成績を比較
- 対象となる成績は「1年次のプログラミング教科の成績」と「2年次の情報基礎科の成績」
- 2つの成績結果から「プログラミング力」と「論理的文章力」を分析
「論理的文章力」を把握するために、学生に以下のレポートを作成させています。
- 自分の強みと弱みに基づいて、目指すべき職業を想定して自分をアピールするレポート(200字程度)
- ワークフローを適用可能な業務を取り上げて、ビジネスプロセスの改善前と改善後などを盛り込んだレポート
さらに、この研究では以下の5つが「論理的な文章」として定義されています。
- 相手が正しく理解できる
- 曖昧性がない
- 事実として意見が分かれている
- 論理の組み立てが適切である
- 読み手の設定が適切である
■参照:情報学広場:情報処理学会電子図書館「 論理的な文章作成力とプログラミング力との関係の分析 」
結果として、「プログラミングの成績の良かった80点以上のグループ」と「プログラミングの成績の悪かった60点未満のグループ」で、80点以上のグループの方が文章作成において「論理力」と「言語能力」が勝っていたことが判明しています。
この研究結果から「プログラミングを学ぶことで他の教科(国語力)にも良い影響与える」可能性があるのだとわかったのですね。
論理的思考力が身に付くと、全体の思考力に良い影響を与える
ただ、この研究結果は「プログラミングを学んだ → だから論理的思考が身についた」というより、あくまでも「関係性がある」にとどまっています。
しかしながら、結果として「プログラミングを学ぶことで、全体的な思考力にもいい影響を与える可能性が高い」といえます。
プログラミングと論理的思考の間にある明確な因果関係は、まだ判明していませんが、さらに研究がすすめばハッキリとした関係性が見えてくるでしょう。
今後、どんなことがわかるのか楽しみですね!
論理的思考が身につくとどうなるの?
この章では、「論理的思考が身につくとどうなるのか?」お伝えしましょう。
相手の立場になって物事を伝えられる
論理的思考が身につくと、筋道を立てて考えられるようになるため、説明がわかりやすくなります。
どのように説明すれば、相手も自分も理解できるか考えられるようになるため、相手の立場に立って物事を伝えられます。
仕事のトラブル回避や、人間関係を円滑にするのにも役立ちますね。
学業で良い成績を修められる、仕事で良い業績を残せる
全体的な考え方に影響を与えるため、学業で良い成績を修められるうえに、いい会社に就職できる可能性も高くなります。仕事で良い業績も残せるようになるでしょう。
簡単にいえば、「頭が良くなる」わけですね。
仕事ができると収入も高くなるため、将来お金にも困らなくなるでしょう。
そもそも「プログラミング教育の必修化」とは、コーディングを覚えることではないので注意
繰り返しになりますが、「プログラミング教育の必修化」とは、コーディングを覚えることが最終的な目的ではありません。
大袈裟に聞こえるかもしれませんが、プログラミングを学ぶことで考え方に大きな影響を及ぼします。
「考え方を大局的にするものなんだ」と、捉えるといいでしょう。
プログラミングで論理的思考を身に付けるにはどこで学べばいいの?
プログラミングは、プログラミング教室やオンラインスクール、さらに独学などで学べます。
子どもなら、プログラミング教室やオンラインスクールに通うといいでしょう。
とくにプログラミング教室で学ぶと、こういったメリットがあります。
プログラミング教室に通うメリット
- 専門家の指導を受けられるので安心
- 同世代と一緒に学べてモチベーションの維持になる
- 大会やイベントなどにも参加できて、いい経験になる
教材費や授業料なども必要になりますが、その分得るものも大きいです。
東京と大阪で通える代表的なプログラミング教室をまとめた記事もありますので、ぜひ参考になさってください。
■【2019年保存版17選!!】東京のキッズプログラミングスクールを年齢別・メジャーな教室・教室数に分けて徹底解説! - |INSPIRE-TV
■【2019年保存版11選!!】大阪のロボット教室を徹底比較!対象年齢から低価格などを教室数別に紹介!! - |INSPIRE-TV
【まとめ】
最後に、今回解説したプログラミングと論理的思考の内容をまとめました。
まとめ
- 「論理的思考」とは「理由が結論にきちんと結びついていること」
- 「論理的思考」と「プログラミング的思考」の違いは「相応しい手順まで考慮されているか?」
- プログラミングを学ぶと、論理的思考が身につく可能性が高い
- 論理的思考が身につくと「相手の立場になって物事を伝えられる」などメリットがある
- プログラミングで論理的思考を身に付けるには、プログラミング教室などがオススメ
「プログラミングを学ぶ」と聞くと、ついつい「理系」「数字」「コンピューター相手」など思いがちです。
しかし、実は、論理的思考も身につくため結果的に全体的なメリットが大きいのですね。
これからの時代の力として、プログラミングをぜひ学んではいかがでしょう?