「ScratchとScratchJrの違いを知りたい」
「Scratchがそんなに難しくないなら、ScratchJrを使わずに本家のScratchから使っても大丈夫?」
「子どもにScratchJrを使わせようと思っている。うちの子は今6歳なんだけど、ネットにつないで使うのかな?まだ危なそうだから、アプリで使えるといいんだけど……」
など、ScratchJr(スクラッチジュニア)とScratch(スクラッチ)の違いについて気になっていませんか?
ScratchJrとは、世界的に有名なビジュアルプログラミング言語のScratchの幼児向け版。
これから子どもにScratchJrを使わせようと考えている方にとって、両者の違いやどちらを先に使うべきかなど、気になる点があるはずです。
そこで今回は、ScratchJrとScratchについて以下の内容とお伝えしていきましょう。
このページでわかるScratchJrとScratchのこと
- ScratchJrとは?
- Scratchとは?
- ScratchJrとScratchの違い
- ScratchJrとScratch、どちらから先に使うべきか?
順番に見ていきましょう!
ScratchJr(スクラッチジュニア)とはScratch(スクラッチ)の初心者&幼児向け版
画像出典:Scratchジュニア - ホーム
まずScratchJr(スクラッチジュニア)についてお伝えしていきましょう。
ScratchJrの基本的な概要
ScratchJrとは、一言で言えばビジュアルプログラミング言語、Scratch(スクラッチ)の初心者&幼児向け版。プログラミングの概念を知らなくても、英数字を知らない子どもでも、誰でも遊びながらプログラミングの概念を身に付けられます。
Scratchについては次章でまたお伝えしていきますが、Scratchよりさらに簡単になったのがScratchJr。ScratchJrもScratchも、両者とも基本的な動作は同じです。
そんなScratchJrの基本的な概要をまとめました。
- 対象年齢:特に5歳~7歳(幼児向け)
- 無料
- iPad版とAndroidタブレット版のアプリがあるが、ブラウザー向け(パソコン向け)はまだ登場していない
実際にどんなふうに使うのかは、ぜひこちらの動画をご覧になってください。
ScratchJrの特徴
ScratchJrの特徴をまとめました。
- コマンドのブロックが大きくて分かりやすい
- コマンドのブロックに矢印や人などのアイコンが使われており、文字は使われていない
- 漢字は使われておらず、ひらがなのみ使われている
- プログラミングの概念である「if(条件分岐)」と「変数」は登場しない
- 画面上の座標は「1から20」まで
- コマンドのブロックは横へ横へとつなげて並べていく
- 録音した音声をコマンドのブロックとして使える
- 写真を撮って背景にできる
- タブレット専用なので指先で触れて操作できる
幼児向けということもあり、小さな子どもがパッと見たときに、すぐに認識しやすい仕様になっていますね。
ただScratchJrは、Scratchよりも簡単な仕様になっているだけあって、ブロックの種類も少なく、表現の幅が狭くなっています。
そのため「すぐに飽きてしまうのでは?」「10歳くらいの子どもだと退屈する?」と思われるかもしれませんね。
しかし、
「10歳くらいの子どもでも十分楽しめる」
「うちの子どもは、ScratchJrとScratchと両方を使って、それぞれの良さを楽しんでいる」
という口コミを見かけます。
親が心配しなくても、子どもなりに楽しんでいることが分かりますね。
また、ScratchJrの優れているところは、録音機能があること(Scratchにもあります)。つまり、5、6歳くらいの文字の読み書きがまだできない子どもでも、録音機能を使えばその分表現の幅が広がる、ということですね。
そんなScratchJrの公式サイトはこちら。
ScratchJrのアプリのダウンロードはこちら。
App Store:ScratchJr on the App Store
Google Play:ScratchJr - Google Play のアプリ
「ScratchJrを使って、いろいろ教えてもらいたい」という方のために、子ども向けプログラミング教室のCodeCampKIDS(コードキャンプキッズ)では、ScratchJrを使ったコースもあります。
小学生・中学生のためのプログラミング教室 | CodeCampKIDS(コードキャンプキッズ)
ScratchJr以外にも、小学生向けのプログラミング教材なら、ぜひこちらの記事も参考になさってください。
Scratch(スクラッチ)ではScratchJr(スクラッチジュニア)よりできることが増え、少し複雑になり、表現の幅が広がる
画像出典:Scratch - Imagine, Program, Share
ScratchJrに対して、Scratchではできることが増え少し複雑になり、表現の幅も広がります。
Scratchの基本的な概要
Scratchとは冒頭でもお伝えしているように、世界的に有名なビジュアルプログラミング言語です。プログラミングとは、本来英数字の文字で作っていくものですが、それだと初心者には理解しづらいもの。
そこで、プログラミングの概念をカラフルなブロックやキャラクターを使い視覚化し、理解しやすくしたのがScratchというわけです。
そんなScratchの基本的な概要をまとめました。
- 対象年齢:特に8歳から16歳(小学校低学年から高校生あたり向け)
- 無料
- オフライン(アプリ)でもオンライン(ブラウザー)でも使える
ところでこのScratch、2020年に小学校でプログラミング教育がはじまったこともあり、すでに触れたことのある方も多いでしょう。
Scratchの初心者向けに解説された動画もありますので、ぜひ参考になさってください。こちらの動画では、Scratchを使った簡単なゲームの作り方を解説されています。
Scratchの特徴
Scratchの特徴もまとめました。
- ブロック(コマンド)を使い、プログラミングを組む
- キャラクターを使ってアニメーション作れる
- はじめにScratch公式サイトでユーザー登録する必要がある(登録しなくても使えるが、登録しておくと作ったプロジェクトを保存できる)
- プログラミング教室やプログラミングトイ、子ども向けプログラミング検定にも導入されている
- 録音や音のコマンドも可能
Scratchを幼児向けに単純化させたのがScratchJrということもあり、両者とも基本的な動作は同じですね。
そんなScratchの公式サイトはこちら。
Scratch - Imagine, Program, Share
スクラッチのダウンロードはこちらからまとめてできます。
Scratch - Scratch Offline Editor
過去にScratchについて解説した記事もあるので、ぜひ参考になさってください。
ScratchJrとScratchの違いまとめ
ここまでScratchJrとScratchについてお伝えしてきましたが、「結局どんな違いがあるんだろう?」と思われたはず。
そこでこの章では、ScratchJrとScratchの両者の共通点と違いについてまとめました。
ScratchJrとScratchの共通項
まずScratchJrとScratchの両者の共通項がこちら。
- コマンド(ブロック)を組み合わせてプログラミング(キャラクターを自由に動かすなど)を組んでいく
- スプライト(キャラクター)やキャンパスエリア(プログラムが実演される箇所)がある
いずれも「子どもでもプログラミング初心者でも、視覚で直感的に理解できる」点が同じですね。
ScratchJrとScratchの違い
では肝心のScratchJrとScratchの違いは何なのか、まとめました。
ScratchJr | Scratch | |
---|---|---|
対象年齢 | 5歳から7歳 | 8歳から16歳 |
文字 | ひらがなのみ | 漢字も使っている |
座標 | X座標:20まで y座標:15まで |
X座標:-240から240 y座標:-180から180 |
コマンド(ブロック)の表示 | アイコン | 文字 |
対応環境 | アプリ専用(タブレットのみ) | パソコン版ダウンロードとブラウザー上でも可能 タブレットでも使用可能、スマートフォンではプロジェクトの閲覧は可能だが、作成と編集はできない |
プログラムの命令 | if(条件分岐)と変数がない | if(条件分岐)も変数はある |
コマンド(ブロック)の並べ方 | 横に並べていく | 縦に並べていく |
これら両者の違いから、「どっちから使ったほうがいいの?」と思われたはず。
次章ではScratchJrとScratchの、どちらから先に使ったほうがいいのかお伝えしましょう。
ScratchJrとScratch、結局どっちから使ったほうがいい?
ScratchJrとScratchは、いずれもプログラミング初心者向け。そのため、使う子どもの「時期」や「状態」が大きく左右してきます。
どちらから使ったほうがいいのか考えたとき、主に以下の3つに分けられます。
- 「小学校に上がる前の子」で、早くからScratchやプログラミング学習に触れさせたいならScratchJr
- 7歳くらいからはじめるならScratchJrじゃなくてScratchからはじめてもOK
- 危険性を重視するなら、アプリだけのScratchJrがいいかも
順番に見ていきましょう。
1.「小学校に上がる前の子」で、早くからScratchやプログラミング学習に触れさせたいならScratchJr
「小学校に上がる前の子どもにScratchって使えるの?」と思われるでしょう。
小学校に上がる前の子、つまり未就学児の場合、やはりScratchよりもScratchJrを先に触れさせることをおすすめします。
というのも、ScratchJrとScratchの違いでもお伝えしてきましたが、Scratchでは「漢字を使っている」からですね。
もちろんある程度文字が読めるようになり、漢字も読めるようになれば、ScratchJrからではなくScratchから学習してもいいでしょう。しかし、「『小学校に上がる前の子』で、早くからScratchやプログラミング学習に触れさせたい」と考えているなら「ScratchJrが適している」ということですね。
また「いずれ子どもにScratchでの学習を予定しているので、先取して触れさせてあげたい」という方にも、ScratchJrはおすすめです。
小さな子どもにはマウスよりも指先を使うタブレット端末が合っている
ところで「Scratchを使う」ということは、「いずれはマウスを使うことも近い」ともいえます。確かに本格的にプログラミングを組むとなると、いずれにせよマウスでの操作が必要。ただ、子どもの手にマウスは大きいです。
そのため「タブレットのみで使える」が前提のScratchJrのほうが、実は小さな子どもにとっても都合がいいのですね。まずはタブレットで指先を使い、プログラミングに触れさせてあげるといいでしょう。
ScratchJrからScratchへの移行も、そんなに心配しなくていい
現時点で子どもにScratchJrを使わせている方からすれば「ScratchJrからScratchへスムーズに移行できるか?」と不安に感じる方もいるでしょう。
この点について前述でも触れましたが、実際に両者を使っている方の口コミを見ると、用途に合わせて両者を上手に使い分けているようです。
子どもは大人が思っている以上に柔軟。子どもなりに使い方や用途を覚え、対応できると考えられます。
さらに学校での学習が進み、「文字が読めるようになった」「レベルアップしたい」となったら、ScratchJrからScratchに移行していくといいですね。
2.7歳くらいからはじめるならScratchJrじゃなくてScratchからはじめてもOK
それほどプログラミング学習を急いでおらず、7歳くらいの子どもでしたら、ScratchJrを飛ばして本家ScratchからはじめてもOKです。
ScratchではScratchJrでは登場しなかった、漢字や文字を使ったコマンドが登場します。7歳(小学校1年生)から漢字や文字を学ぶことですし、7歳くらいの子どもはScratchに触れてもいいでしょう。
当然、小学校のプログラミング学習を通じて、はじめてScratchに触れる子も多くいます。決して「ScratchJrからはじめないとダメ!」ということはありません。子どもの成長に合わせてScratchJrかScratchか選んであげるといいでしょう。
3.危険性を重視するなら、アプリだけのScratchJrがいいかも
危険性を重視する場合、アプリだけに対応しているScratchJrがいいかもしれません。
現時点でScratchJrはアプリのみ、Scratchはブラウザーでも使える仕様です。つまり、Scratchは使える「経路が広い」ということですね。
「キーボードに触れたことがない」「パソコンに触れたことがない」という子どもは、インターネットを経由することで、余計なページを開き、何らかのトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
そのため小さな子どもが使うのなら、アプリだけに限られたScratchJrがいいでしょう。
もちろん、使う経路の広さによる危険性は、Scratchを使う子どもにも同じことがいえます。そういった場合、ブラウザー上ではなくアプリから使わせてあげるといいですね。
ちなみにScratchJrの口コミでは「iPad版以外ではフリーズする」という声もあります。Androidタブレットだと使いづらいかもしれませんので、注意しておくといいでしょう。
【まとめ】ScratchJrとScratchの違いを知って使おう
ScratchJrとScratchの違いについてお伝えしてきました。お伝えしてきた内容をあらためてまとめましょう。
- ScratchJrとはScratchの初心者&幼児向け版
- ScratchではScratchJrよりできることが増え、少し複雑になり、表現の幅が広がる
- ScratchJrとScratchの違いは「文字の種類(漢字を使っているか)」「環境対応(アプリのみかブラウザーでも対応しているか)」など
- 「小学校に上がる前の子」で、早くからScratchやプログラミング学習に触れさせたいならScratchJrがおすすめ
- 7歳くらいからはじめるならScratchJrじゃなくてScratchからはじめてもOK
- 危険性を重視するなら、アプリだけのScratchJrがいいかも
ScratchJrもScratchも、いずれも子どもとプログラミング初心者向けのビジュアルプログラミング言語です。
ScratchJrとScratchの違いを知って、子どもに使わせてあげましょう!